

HOTWHEELS JEEP CHEROKEE XJ 1995
今月のホットウィールの単品枠でもあるXJチェロキー。当方が好きな車の一つでもあるXJチェロキー。
今日、日本では劣勢のアメ車メーカーでも、唯一ジープだけは堅調な売上を残しており、ジープも取り扱う日本のクライスラーディーラーがジープディーラーに鞍替えすることになったのも納得だったり。
ジープのアイコニックな車種と言えばやっぱりウィリスMBを源流に発展していったラングラーだろうけども、意外とジープの屋台骨を支えているのはラングラーよりもチェロキー及びグランドチェロキーなのではないかと思うのだが如何か?
一時期名称が消えたりもしたが、しっかりと復活し、現在でも人気のあるチェロキー。
その原点でも有るXJチェロキーは自動車史にも残るような1台だと勝手に当方は思っていて、今のクロスオーバーの原点の一つなのではないかと思う。厳密にクロスオーバーとしての原点を話すなら、AMC・イーグルになるのだが、それはまた別の機会に。
当時、SUVといえば、ピックアップにハードシェルを付けただけのような物や、ピックアップのシャシーをベースにした、クロスカントリーが主流な中、XJチェロキーは当時としては珍しいモノコックのSUVだった。
今じゃ、モノコックのSUVは当たり前。一つのブランドが数種類のSUV、それもモノコックのクロスオーバーだけを作ってるなんてことは珍しくないが、80年代に、ラダーフレームのセダンさえ走っていたアメリカで、モノコックのそれもSUVで、しかも当時としてはコンパクトな車体ともなると、XJチェロキーが唯一にして、至高の車だったのではなかろうか。
そんなXJチェロキー。日本では90年代のSUVブームでホンダが販売したことで、割と知名度が高いらしく、現在でも当時の物を程よく乗っている人を見かけたりする。
一説に、右ハンドルの設定があった事、ホンダが携わった事で初期トラブルが劇的に少なかった事、販売価格も外国車としては比較的手を出しやすかった事が人気になった理由として挙げられている。
ある種、SUVの革命児とも言えるXJチェロキーだけども、案外リアルタイムで製品化していたメーカーってのは少なかったような気がするのだ。
真っ先に思いつくのはマジョレット。フランスのミニカーブランドのマジョレットが何故チェロキーを?と思わなくもないが、割と古いアメ車がマジョレットは製品化されているし、クライスラー買収前のAMCがフランスのルノーと関係があったという点を考えれば割りと合致が行ったり。
もう一つ思いつくのはマッチボックス。今でも時々出てくる金型だが、こちらはマジョレットや主流だった5ドアモデルとは異なり、3ドアモデル。現状、3インチのXJチェロキーで3ドアはマッチボックスだけにも思えるがはてさて。
そしてこれらのモデルはジープが今の7本グリルをアイコンにする以前のモデルで、AMC時代のグリル。
XJチェロキーは1984年から2001年と製造されたロングライフモデルな事もあり、前期・中期・後期で細かいディティールが異なる。

ホットウィールが製品化したのは95年モデル。おそらく中期型であっているはず。ギリギリ、まだジープのトレードマークである7本グリルが採用される少し前のモデル。
とは言え、ホットウィールが大人しくノーマルモデルを製品化するわけもなく、このXJチェロキーはフェンダーが大型化され、バンパーもウィンチとバグガードが取り付けられた他、ルーフラックとドライビングランプが装着された、コテコテのオフロード仕様。
しかし、程よく都会的なXJの要素が残されてる事もあり、案外街中に居そうな雰囲気漂う、まとまったカスタムになってるのが非常に好感触。
リアルタイムでチェロキーを製品化せず、スルーしていたからこそ、ホットウィールは改めて古いSUVを、XJチェロキーを製品化する上で”再解釈”したのではないだろうか。
XJチェロキーという車に求められる要素、SUVが当たり前の時代におけるレトロなSUVのポジションをラインナップに加える上で必要な要素。それらが何であるのか。
古い車を製品化するにあたって、若い世代にとっては自分が生まれるよりも前の車であればある程、今の車とは異なる魅力を引き出す必要があるし、逆にその当時を現役で生きていた世代にとっては懐かしさや思い出の象徴であり、変に現代的解釈を取り入れれば、それは思い出の象徴では無くなってしまう。
カウンタックやテスタロッサのように、古い車でありながら、現代にも通用するプロポーションを持つ、素の状態で魅力的なマシンならいざ知らず、これが割りとXJチェロキーのような、普遍的だったり、現代ではオンリーワンとは言い難い車種となると、この塩梅って難しいんじゃないかと思う。
今回、ホットウィールはその上手い塩梅を引き出したと言わざるを得ない。無骨でレトロ、しかしどこか近代的。
ここ10年程で、XJチェロキーを手掛けたミニカーブランドは意外と多い。割りと早い段階で手を出したのはジョニーライトニング。彼らはノーマルモデルと同時にオフロードに振ったマシンもリリースした。
次いでグリーンライト。かつてXJチェロキーがNYPDやら一部の警察機関で採用されていた事、映画やドラマと言ったスクリーンでXJチェロキーが駆け抜けていた事を考えれば、彼らが製品化するのも納得。個人的にはストレンジャー・シングス シーズン4でジェイソンが保有し、バスケットボール部の面々が乗り回していた黒いチェロキーを製品化して欲しいところ。
まあ未だにホッパー所長のブレイザーのシェリフパトカーが出ない辺り厳しいか。
以外なところだと拓意ことXCARTOYSという中国のブランドもXJチェロキーをリリースしている。中国の警察でジープの採用実績があることも製品化された要因だろうか。どうも、中国仕様のチェロキーは独自に発展していた部分があるようで、ライトの意匠がどれとも異なるモデルがある。まあ製品化されたのは標準的なものなのだけども。
……と、当方が把握するXJチェロキーの3インチミニカーはこの辺り。グリーンライトに関して言えば、パーツを変える事で年式やグレード違いを再現し、リリースする徹底ぶり。
ジョニーライトニングは97年式なのでおそらく後期型。拓意は確か前期型だったような。
こうして見ると、意外とチェロキーは製品化に恵まれている気がしてくる。
リアルタイムでもリリースがあり、そこから時間を開けつつも、実車の人気や再評価の流れから、再びミニカーとして他ブランドから製品化される。スポーツカーやスーパーカーの影に埋もれつつも、確実にミニカーの購買層も含めて、XJチェロキーが人気ということの証左に思えたり。

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